8年生のレポート(「対話で未来を拓く」からの抜粋)

フィリピン、マニラ郊外のゴミの山は、売れるものを探す人たちで溢れていました。私が知り合った10歳の男の子は週4回、一日5時間以上ここで働いています。時に死者を出す危険な場所で、なぜ。
そこには貧困の問題がありました。学校へ行くのも難しく、衛生状態も悪く。

帰国後、自分にも何かできないかと、報告会を企画しました。高校生・大学生や大人を含めたテーマトークです。考えを深め、視点を広げる機会になりました。顔と顔を見合わせての対話には可能性があります。いろいろなバックグラウンドを持った方々との対話から生まれるアイデア。

世界にはたくさんの課題があります。誰かが変えてくれるのではなく、自分たちにできることをやってみる。そんな風に考えるようになりました。未来をよりよいものに変えていくために。

 

子どもたちには、こんな話を添えました。

「人の気持ちがわかる人が、豊かな人です。豊かさに向けて学べる人が普通の大人です。普通ってほんとにすごいことですよね。普通であるってこと自体すごく普通じゃないことかもしれないくらい。そして、学びつづけることができる人のことを、市民というのではないでしょうか」

授業観察(5年英語)

英語の授業の課題を話し合って、「学び合い」で解決への一歩を選択したParkグループに、私は少し懐疑的でした。もっと具体的で、基本的な確認のほうが現状に合っているような気がしたからです。けれど、Parkグループのみんなは、数名の仲間でそれぞれ問題に取り組み、楽しそうに話し合い、辞書を引き、教えたり教えられたりして、何とか自分たちで解答を導いていましたね。

ネイティブの言っていることがわからないと「人のせい」にしていた人たちとは思えないくらい、活気のある教室でした。堂々と間違える姿に、成長も確信しました。

 

そっと机をそろえた君の動きを見逃さなかったよ。

鉛筆が落ちた瞬間に、反応していた君の身体も。

消しゴムのかすを、嬉しそうに片付けて、この時間に感謝して、少しだけ自分たちをほめてあげたいようなその顔。

 

この教室にいると自然に力がついてしまうような集団をつくって欲しいと思います。

プライマリーの4年生が総合部を紹介します PartⅡ

(児童の作文の続き)

 その他にも、ぼくは時々、どうしたらいいのか、わからなくなった。給食の用意ひとつにしても、掃除のやり方にしても、当たり前だが、わからないのだ。

ぼくはそれを見て、ぼくが1年生だったころを、目の前で見ているようなさっかくにおそわれた。そして、同時に、ぼくの担当をしてくれた先輩のことを急に思いだした。そして、その先輩に申し訳なかったような気持がわいてきた。

「ぼくも、あの時の先輩のようにやってみよう」

そう思ってから、なぜか上手くいくようになった。もちろん彼ががんばったのだが、それだけではないような気がしている。

  ぼくは、毎日、小学生新聞を読み、英文で書かれた本を読んでいる。(今は、ビルゲイツの伝記)正直、勉強も学校生活も楽しいだけではないが、この毎日が積み重なって、いずれ、将来研究者になる夢に結びつくのだと信じてがんばっている。

スタンフォード大の卒業式でジョブスが言っている。

You have to trust that the dots  will  somehow connect in your future.

全ては将来につながっている。

プライマリーの4年生が総合部を紹介します PartⅠ

ある児童の作文から、総合部を紹介します。

 ぼくの学校は少し特殊で、学科以外は、1年生から4年生までが同じクラスで生活する。朝の会・昼食・掃除・帰りの会・Teamでの活動(週6時間)を異学年で行う。この集団をプライマリーと呼ぶ。ぼくはこの4月に4年となり、1年生の世話をする任務に就いた。これは4年生全員に与えられる機会で、ぼくはこの機会が待ち遠しかったが、不安でもあった。
4度目の入学式に参加。そして、ぼくが世話をする1年生がついにやってきた。
「1年生が来てくれて、すごくうれしいんだ」
「化学が大好き。特に元素が」こんな会話をした。
その日から、ぼくは急に今までの学校生活の立場が変わったような気がした。同時に責任について考えるようになった。

ぼくの学校は制服で登校する。だから、朝学校に着いたら、連絡帳を書いてから、更衣室に行き、体操着に着替える。日中は体操着で活動するからだ。彼は少しゆっくりな子で、この着替えが、はじめは大変だった。ぼくが手伝っても2人は、朝読書の時間に間に合わないことが何度もあり、どうしたらいいのかわからなくなった。
なぜなら1年生は、一生懸命やっているわけだから、怒るわけにはいかないし、どうやったら間に合うのか、ぼくにはわからなかった。

校長面談にむけての200字コメント

ある7年生が、校長面談前に提出してくれたコメントです。

テーマ「リーダーになるには」 

私が校長先生とお話したいことは、「リーダーになるには」ということです。

東日本大震災での悔しい思いが忘れられません。自分の親しい人たちの悲しい顔を私は見ていました。私は、人にこんな悲しい顔をさせない大人になろうと決めました。

 悲しみではなく、喜びや幸せを発信できる人間になりたいです。そのために今、私に何ができるのか。幸せを発信するリーダーになるのにはどうすれば良いのかを話していただけると嬉しいです。

話は結局「懸命に学ぶしかない」というところで落ち着きましたね。

「今、総合部にいられて幸せです。日本だけでなく、世界に向けて幸せを発信できるように、英語を頑張りたい」という君が、とてもまぶしく頼もしく感じました

8年生からの手紙(総合部を修了した日に)

 この8年間で、人のことを考えることを学びました。

 本当のことを言うと8年生になってからわかったことが多かったです。

  Team代表になったことを後悔したのは、運動会練習の初日の朝練習。参加する人数があまりにも少なかったんです。呼びかけ、ペナルティー、どれも皆の心には届きませんでした。

 「どうしたら来てくれるのだろう」

 一人ひとり時間をとって、何を思っているのか聞いてみることにしました。わかったのは、当たり前ですが、「皆、全然違うことを思っていたんだということ」でした。

 一人ひとりの解決策を考え、参加人数は倍増。この間の大変さは8年でしか体験できない、他の学校では絶対に得ることのできない総合部最大のメリット。

 だから総合部に感謝です。ずっとこの総合部でいてください。(略)

 

この気づきは本物です。

「人は一人ひとり違うことを考えている」ことを実感できる経験は何にも代えがたい経験です。この当たり前がわかっている人が、ほんとうに少なくなっています。

総合部は78年を経験してこそ総合部。それがわかるのは、ほんとうにわかるのは実はずいぶん後になってからなのです。これも学びと一緒ですね。

「詩」をひとつ紹介します

 子どもたちにも紹介したのですが、プライマリー3年、男の子の「うた」です。

 

ふしぎなかがみ

 

かがみよかがみ

せかいで一番うつくしいのは

だれでしょう

 

みんな うつくしいです

 

あれ このかがみ やさしい

 

何度 言っても

おなじこと

 

何回も 何回も

 

へぇ

何にも

じゅん位なんてきびしいこと ないんだ

 

 

 

一人の時間がきちんともてる子は、自分を支えることができる学びの方法を持っています。

セカンダリーでは、異学年齢の小グループで、「学びへの扉」という自宅学習の記録を活用しながら、

自宅での学びについて、テーマトークを続けています。

「あそび」について

もう15年以上も前のことになりますが、世田谷でトンカチや木材が自在に使え「自分の責任であそぶ」という掲示のある公園を見つけました。そこで感じたことを昨日のことのように覚えています。

「自分の責任であそぶ中で危機認識能力や身のこなしを育てていきたい。絶対安全で怪我ひとつしない冒険心なんてないのだから。やりたいと思うことが自分たちで実現できる場所が総合部でありたい。それは学習における参加対話型・問題発見解決型・発信型と呼応している。あそびは子どもたちの生活そのものだし、思い通りにいかないことから知恵を獲得する絶好の場」

当時書きとめたメモですが、その気持ち、まったく変わっていません。

ちなみに「あそび」は小学2年生の学年テーマになっています。

保護者からの励まし

総合部に入学後、ご家庭の都合で小4の時にロンドンに渡り、昨年度から総合部に帰ってきたOさん(TOEIC 975 現在は中3)のお話。

 

現地校での自己紹介スピーチの場面で、そのスピーチが大胆かつ意欲的で「やる気がある」と評価され、3か月の補習コースが一般的なところ、彼女は普通コースに投げ込まれる。総合部では当たり前だったプレゼンの文化が、認められたようで嬉しかった。

 現地校では、エッセイを書くことを常に求められた。宿題はいっぱいだし、大変だけれど乗り切ることができた。本人曰く、「通用しちゃった 総合部の探究」

総合部では、課題は自分で見つけるのがあたりまえだし、書くことも、全然苦じゃなかった。

 

そんなOさんの保護者から、こんな励ましの言葉をいただきました。

「グローバル化が騒がれていますが、インターナショナルな世界では英語ができるかどうかは決定的な要因ではありませんでした。あなたはどう考え、それはなぜかが問われるだけ。日本という文化の中で生きてきた人間としてどう応えていくのかが問われるだけ。その部分に総合部は的確に働きかけてくれていました。在学中はよくわからなかったけれど、外に出てみて総合部の教育がよくわかりました。総合部の教育には世界性がありました」

ありがたい言葉です。

卒業生からの手紙

先生お元気ですか。 医科歯科大は、日本で一番タフな場所ではないかと思えるほど多くの経験ができます。出会う人間もわからなくなるほどですが、自分らしくあり続けます。

 

手紙を読みながら、ふと、彼女が中2の時に書いた探究レポートを思いだしました。

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「サザエさんからの考察」

個人主義の世の中で大切なものは何だろう。サザエさんを読むとそこにはつねに笑いと温かさがある。私たちは時間に追われ、いつも何かに追われている。
しかし、サザエさんの世界はもっとゆったりと時間が流れている。四コマの一瞬のことなのに不思議である。
私が日本人でよかったなと感じることは生活や人権を守られ、安心して学校生活を送れること。固有の文化についての誇り。言語が統一されていることも大きい。
サザエさんにはそれとは違った「日本人でよかったな」があふれている。平凡な家族、生活、そこでの互いの敬いや付き合い、寛容さや思いやり。今、スマホに代表される便利すぎる生活が関係を希薄にし、「自分さえよければ」という個人主義を生みだしてしまっている。
サザエさんの世界にリアリティーはないが、人が人として生きていくなかで大切なことに気づかされる。それは「日本人でよかった」という理想の姿なのかもしれない。
(探究レポートから抜粋)

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私は彼女のレポートが好きです。自分の言葉で語り、自分の頭で考えることが「当たり前」で、借り物や誰かがこう言っているなどということが微塵も感じられないから。
「医者」という仕事が「そこにある」訳ではありません。教師も「教師になる」のですし、子どもたちによって教師にしてもらうのです。